第二回 ノンダイアトニックコード —交換可能なサブコード—
ノンダイアトニックコード、すなわちダイアトニックコード以外のコードです。
ダイアトニックコードだけで作られている曲もありますが、ノンダイアトニックコードが合わせて使われる曲も多いですね。
- ノンダイアトニックコードの性格分類
まず、こちらをご覧下さい。
それぞれのコードは、その性格(機能)分類に特徴的な構成音を持っているため、このような分類になっているわけですが、一つ一つ詳細に学んでも実践にはつながりにくいので、細かい解説は省きます。
気になる人は「JAZZ THEORY WORKSHOP JAZZ 理論講座 初級編」小山大宣著 武蔵野音楽学院 を参照してください。
ダイアトニックコードと違い、この表を一挙に覚える必要はありません。
曲のコード進行分析をするときに、この表を見ながらやればよいです。
すると自然に、出現頻度の高いノンダイアトニックコードから、その役割を覚えていくでしょう。
また、同じ性格のコード同士は置き換えることができます。
だから、ダイアトニックコードとノンダイアトニックコードでも、ノンダイアトニックコード同士でも、同じ性格(機能)ならば置き換えが可能です。
メジャーキーにもサブドミナントマイナーがある、、。マイナーキーだけじゃないの?
と思った方。
確かにメジャーキーのダイアトニックコードにサブドミナントマイナーはありませんが、実はメジャーキーでもサブドミナントマイナーは登場します。それは、ノンダイアトニックコードだったり、マイナーキーからの借り物だったりします。
とりあえずそのへんはざっくりこんなもんだと把握していきましょう。
- サブドミナントマイナーの代表選手♭Ⅶ7
次に、上の表の中の、メジャーキーのサブドミナントマイナーにおける♭Ⅶ7に注目してみましょう。
実はこのコード、ジャズスタンダードで結構出てくるんです。
例えば、There will never be another you (key=E♭メジャー)の10-11小節目で
| D♭7 | EbM7
という進行が出てきます。
これは、度数表記にすると
♭Ⅶ7 → IM7
であり、それぞれの性格分類は、サブドミナントマイナー、トニックです。
そして時に、ツーファイブの形に変形して使われます。
例えば、It could happen to you (key=E♭メジャー)の10-11小節目で
| A♭m7 D♭7 | EbM7
という進行が出てきます。
なんと、上の表と見比べると一目瞭然ですね。
サブドミナントマイナーであるD♭7(♭Ⅶ7)にA♭m7をくっつけて、まるでツーファイブみたいな形にしています。
この場合は、A♭m7とD♭7を二つ合わせて、かたまりとして捉えましょう。役割はサブドミナントマイナーです。
ツーファイブに似た形ではありますが、厳密にいうとこの進行はドミナントモーションではありません。
ただ、良く出てくる形ではあるので、頭のすみに置いておきましょう。
- ポイント
ノンダイアトニックコードの性格分類は表を見ながら把握しよう。
サブドミナントマイナーの代表選手♭Ⅶ7を覚えよう。