コラム ブラジル系リズムとキューバ系リズムを区別しよう

2018年1月4日

kanrinin

こんにちは。管理人です。

ジャズではスウィング以外にも、様々なリズムパターンが演奏されますね。
特に、中南米音楽のリズムはよく応用されています。

ボサノバ、ラテン、サンバ、アフロキューバン、カリプソ・・・などなど。
多くの名称のリズムパターンを目にしますが、それらを区別できているでしょうか?弾きわけられているでしょうか?

これら中南米音楽のリズムは、2種類に分類して理解すると良いです。
すなわち!

・ブラジル系
・キューバ系

の2種類です。

具体的にどう分類されるかというと、、、

・ブラジル系:ボサノバ、サンバ
・キューバ系(≒カリブ系):ラテン(狭義)、アフロキューバン、カリプソ

です。
ちなみに、レゲエはキューバ系です。

それでは、この大きくわけて2種類のリズムがどう違うのか見ていきましょう!
はじまりはじまり・・・。




[1] 「ラテン」という言葉について

と、その前に「ラテン」という言葉について確認しておかなければなりません。
上記の文で、ラテン(狭義)となっていたのに気付いた方もいるでしょう。

一般社会的に、「ラテン音楽」というと中南米の音楽全体をさす言葉です。つまり、キューバ系音楽(ルンバ、サルサ、チャチャチャ、カリプソ、レゲエ)、ブラジル系音楽(サンバ、ボサノバ)に加え、アルゼンチン音楽やメキシコ音楽なども含めた、中南米発祥の様々な音楽形態を指す“総称”です。

しかし、ジャズの世界では「ラテン」というと、“キューバ系のリズムパターン”のことを指します。

同じ言葉でも意味が違うので、混乱を招きますね。
前者を広義の(広い意味での)「ラテン」、後者を狭義の(狭い意味での)「ラテン」と考えることができます。

広義の「ラテン」:中南米発祥の音楽全体を指す総称
狭義の「ラテン」:キューバ系のリズムパターンのこと

混乱を招きやすいので、一応確認しておきましょう。


[2] ブラジル系もキューバ系も、どちらも基本は2拍子

ジャズの譜面は4拍子で書かれていることが大半ですが、ブラジル系もキューバ系もリズムのとりかたは2拍子であることが基本です。

だから、1小節の拍をとるときに

ワン|ツー|スリ|フォ|

ではなく、

ワン・・|ツー・・|

ととるべきです。




[3] ブラジル系ベースラインの特徴

さて、2拍子であることを理解した上で、
ブラジル系ベースラインの特徴とはズバリ!

「1拍目と2拍目で、長さの違う音を交互に弾く」です。

ブラジル系の代表であるサンバとボサノバのベースラインのリズム譜を見てみましょう。

(サンバのベースラインリズム譜)
スルド短め

(ボサノバのベースラインリズム譜)
スルド普通

1拍目は短く、2拍目は長く。まさしく、長さの違う音を交互に弾いていますよね。
これは非常に大事なことなのでおさえておきましょう。
「1拍目と2拍目で、長さの違う音を交互に弾く

もう一つの特徴として、
2拍目にアクセント
がありますが、これは後述します。


[4] キューバ系ベースラインの特徴

次はキューバ系です。
2拍子であることは確認済みです。
では、キューバ系ベースラインの特徴といえば!

トゥンバオ」です。

おいおいわけわからん言葉出てきたよ。。と思った方ご安心下さい。
きっと聞いたことのあるリズムですよ。

(キューバ系ベースラインのリズム譜)
トゥンバオ

このリズムパターンのことです。
特徴というか、リズムパターンそのものですね。
このリズムパターン「トゥンバオ」をおさえておけばOKです。

ちなみに、トゥンバオにはいくつかのバリエーションがありますが、私たちアマチュアのジャズベーシストはこのパターンだけ覚えておけば特に困ることはありません。

もう一つの特徴として、「2拍目ウラにアクセント」がありますがこれは後述します。


[5] ブラジル系とキューバ系、ベースラインでの決定的な違いは?

決定的な違い、それはアクセントの位置です。

ブラジル系は「2拍目(オモテ)にアクセント
キューバ系は「2拍目ウラにアクセント

実際のベースラインリズム譜でみると

(サンバ)
スルド短め

(ボサノバ)
スルド普通

(ラテン)
トゥンバオ

このようにアクセントの位置が決定的に違うんですね。

だから、「2拍目(オモテ)にアクセント」が特徴のブラジル系であるサンバやボサノバでは、①2拍目オモテを強く弾いたり、②2拍目オモテを長い音で弾いたり、③2拍目オモテに低い方の5度を選択したり、するんですね。
(例:ボサノバ The girl from Ipanemaより)
ボサノバ譜例

一方、「2拍目ウラにアクセント」が特徴のラテン系では、2拍目ウラに次の小節のコードがクって(シンコペーションして)入り、音に重みが出るようになっています。
(例:狭義のラテン=アフロキューバンリズム St. Thomasより)
ラテン譜例


ブラジル系とキューバ系の違い、わかったでしょうか?
この二つをしっかり区別してグルーヴを出せるベーシストになりたいですね。

ご参考いただければ幸いです。
ではまた。


参考文献
『ベースラインの技』箭島裕治著



Posted by シロ助